東京の賃貸居住者(単身者)の2人に1人は「精神的健康状態に問題あり」という調査結果がある。
「精神的健康状態に問題あり」とされた賃貸居住者(単身者)の割合
東京:54% ニューヨーク:15% ロンドン:21% パリ:26%
これは賃貸住宅生活実態調査で一番衝撃を受けた調査結果だ。
海外の都市と比べても東京が圧倒的に多く、東京の異常さがはっきりとわかるだろう。
なぜ東京と欧米にこのような差が出来るのかというと、居住者と地域コミュニティの関係の有無が大きな影響を与えているようである。
欧米に比べ、東京の居住者は(東京に限らないかもしれないが)地域との関係が希薄であり、地域住民としてのアイデンティティ、自覚をほとんど感じていないのだ。
住まい探しの際に重要視される条件を比べると欧米と日本の地域への関心の違いがはっきりとわかる。
欧米が「個性的な部屋かどうか」「魅力的な地域環境かどうか」という生活を基準とした視点で住まい探しをするのに対し、
日本は「会社に通いやすいかどうか」「家賃がいくらか」といった利便性を基準とした視点で探すのである。
事実、東京に住む人のうち「居住地域内、集合住宅内にいる親しい友人の数が0人」という人の割合は、
居住地域内だと54%、集合住宅内だと78%という嘆きたくなる数値だ。
それに対してニューヨークはそれぞれ15%、29%という結果で、東京の半分にも満たない。
言い換えればニューヨークに住む人の多くは住まいの近くに親しい友人を持っているという事である。
この「居住地域内、集合住宅内にいる親しい友人の数」は先ほどの「精神的健康状態に問題あり」とされた割合にかなり関係している。
「集合住宅内や居住地域内にいる親しい友人の数」が1人でもいると「精神的健康状態に問題あり」とされた割合は減少する傾向にあり、
また親しい人数が1人よりも2人、3人と多くなるとより減少する傾向にあるようである。
話し相手となる友人が近くにいれば精神的に安心できる、ということは誰でも簡単に想像できるだろう。
無縁社会という言葉を最近良く聞くが、日本人は欧米人に比べて住まいや地域環境への関心・関係がかなり薄いこと、
そして利便性ばかり重視して自ら閉塞された住まい環境を選んでしまうと、自ら身を滅ぼしてしまうこともわかった。
つづく